創設以来、時代のニーズに即応し、幅広い福祉事業に取り組んでいます。
邦寿会は2021年に創立100周年を迎えました。
1921年(大正10年)サントリーの創業者で初代理事長鳥井信治郎が、社会奉仕への強い信念のもと生活困窮者救済のため、大阪市愛隣地区に無料の今宮診療院を開設したことに始まります。
後になって鳥井信治郎は次のように書いています。
「餅配り」―ともに正月を喜ぶ―
大正時代のことであるが、毎年の年末には、社寺に献酒すると共に、「餅つき」をして、生活に困っている方々に配ってもらった。これは全部匿名で行なったので、世間には全く知られていないだろう。
この餅をつくことがまた大変だった。
たしか安堂寺通りに店のあった時分から始めたと思うが、せまい店の庭で、多勢の賃づき屋に来てもらって餅をつき、社員も元気なものは、これに加勢したのであった。
一方、雲雀ヶ丘の自宅でも、二日がかりで餅をつき、役場に協力してもらって分配した。又それとは別に着物も贈った。
伊藤忠から大量の反物を買い入れ、正月に間に合うように、家内は、社員の夫人達にも呼びかけ、一同で奉仕してこれを縫い上げたものである。
このようにして、正月のお祝いも自分達だけでなく、生活に困っているドン底の人達とも一緒に喜んでもらうよう努めたものだが、これには家内が一番力を入れてくれたものだった。
後に家内がなくなってから、邦寿会をつくって、社会事業に力を入れるようになったのも、この因縁によるのである。
(サントリー社内報「まど」より/昭和34年)
鳥井信治郎の強い「信念」と「思い」によって始まった邦寿会は、その時代、時代にふさわしい社会福祉活動をいち早く取り入れ、実現してきました。それはまさに挑戦の連続でありました。
2000年(平成12年)には介護保険制度が導入され、高齢者福祉の内容が大きく変わりました。急激な高齢化社会の進行、国の財政逼迫など、法人運営においても高齢者個人にとっても、福祉の現場は、厳しい現実にさらされています。
そんな中、邦寿会は2008年(平成20年)4月、サントリー洋酒工場跡地にどうみょうじ高殿苑を新設し、総合福祉施設として全室個室ユニット型の最新設備とゆったりとした緑豊かな環境の中で、これからの時代に対応する高齢者介護事業をスタートしました。施設経営も軌道に乗り、ご利用者、ご家族、地域の方々からも高い評価をいただいています。
また邦寿会では、高殿苑、つぼみ保育園、どうみょうじ高殿苑の施設経営に加えて、ショートステイ、デイサービス、ヘルパー、ケアプランの居宅事業への取り組みを続け、2011年(平成23年)4月には、大阪市より旭区西部地域包括支援センター事業を受託し、新たな挑戦をつづけています。
我々邦寿会は、「笑顔と思いやり、共に暮らし、安らぎと喜びを分かち合う」という理念のもと、創立者鳥井信治郎の『「信念」と「思い」』、『利益三分主義』、『陰徳つめば陽報あり』の精神を引き継ぎ、サントリーグループの社会貢献活動を担う法人として、創造性のある高齢者福祉と乳幼児保育に取り組んでいく覚悟であります。
社会福祉法人 邦寿会
理事長